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舌下免疫療法の効果について
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もともと皮下注射による免疫療法の時の有効率は70%ぐらいと言われていました。
「舌下免疫療法」は、歴史が浅いものの、同程度の有効率が言われています。
特にスギ花粉に関しては、50%ぐらいの患者さんに症状が消失するとの報告があります。
また、「舌下免疫療法」は継続率が高いことがこの治療法の魅力です。当院でも脱落者は今のところいません。
内科ないしは諸外国の報告をまとめると以下になりますので、参考にして下さい。
【スギ】
・アレルギー性鼻炎から喘息が発症する可能性を減少させる。
・将来のアレルゲンの感作の拡大を抑えられる。(反応するアレルゲンの減少)
・花粉症シーズンに喘息発作を抑えられた。
【ダニ】
・アレルギー性鼻炎だけでなく喘息発作の軽症と薬剤の中止、減量ができた。
・免疫療法施行した小児喘息の70%が寛解したが、薬物療法のみの患者はほとんど寛解できなかった。
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舌下免疫療法の副作用について
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副作用は、大部分は局所の症状で、口腔内の腫れや痒み、耳の痒みなどがあります。
多くは時間の経過とともに自然に回復します。
特に投与開始後の1か月程度は注意が必要です。
強い症状が起きることはまずありませんが、この時期の投与後30分は注意が必要です。
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舌下免疫療法について
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「舌下免疫療法」は、舌の下(舌下)にアレルゲン(ダニ、スギ)を含む錠剤を投与し、一定の時間(2分間)が経ってから飲み込みます。投与後5分間はうがいや飲食を避け、投与後2時間は入浴・激しい運動を避けます。
最初は低用量で開始し、その後増量します。
治療期間は、最低でも3年。できれば5年以上続けることが望ましいです。
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アレルゲン免疫療法とは?
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「アレルゲン免疫療法」は、アレルゲンを繰り返し体内に入れることで体を徐々に慣らしていき、過剰な反応を弱めてアレルギー症状を起こしにくくする治療法です。現在「ダニ」と「スギ」によるアレルギー性鼻炎の方が対象となります。
もともと、皮下注射を用いた方法があり効果が確認されいましたが、通院や注射の痛みによる負担、効果発現まで長時間がかかること、帰宅後の副反応などのデメリットがあり、特に小児科では積極的に行ってきませんでした。
最近「舌下免疫療法」が、簡単に自宅で出来て、通院や注射の痛みによる負担もなく広まりつつある治療法です。
アレルゲンとIgE抗体の結合をじゃまするIgG4抗体を産生するメカニズムが考えられています。
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アレルギー性鼻炎の治療について
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まずは、当然アレルゲン対策は必須です。その他、合併症対策としては鼻がでたら、かむ習慣をつけたり、低年齢では鼻汁の吸引を常に行ってください。重症の場合は、鼻洗いなども勧めています。
薬物治療は内服薬と点鼻薬の併用を行います。
内服薬は、抗アレルギー薬(アレグラ、クラリチンなど)と低年齢で鼻閉があり、点鼻薬が困難な場合は、抗ロイコトリエン薬(オノン、キプレスなど)の内服薬を追加するのがスタンダードな治療法です。
重症の場合では、短期的にステロイド剤(プレドニゾロン、リンデロンなど)を使用する時もあります。
点鼻薬は、ステロイド剤(ナゾネックス、フルナーゼなど)を使用するのがスタンダードな治療法です。
重症の場合は、血管収縮剤(トラマゾリンなど)を使用することがあります。しかし、2歳迄は禁忌となっています。
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アレルギー性鼻炎の診断
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アレルギー性鼻炎の検査は、鼻汁中の好酸球増加で診断します。
小児では感染があると好中球が増えるので、好酸球が陰性になることもあります。
臨床的には症状の継続で疑い、アレルギー検査でアレルギー体質とアレルゲンを確定させます。
アレルギー性鼻炎の鑑別する疾患で「血管運動性鼻炎」があります。この疾患は、鼻汁好酸球が陰性で誘因抗原がありません。自律神経異常が推定されます。
また、合併症の副鼻腔炎や鼻茸の診断の為に画像診断も行います。
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アレルギー性鼻炎の原因について
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通年性のアレルギー性鼻炎の原因の大部分は「ダニ」です。
高温多湿の環境で発生しますので、梅雨時が多いのですが、密閉された家屋では一年中多いです。
あとは「カビ」(5%くらいです)「ペット類」が原因となります。
季節性のアレルギー性鼻炎の原因の代表は「スギ」「ヒノキ」などの花粉です。
最近は低年齢化が進んで、1歳代でも検査で陽性を示します。スギ以外でも「イネ科(カモガヤなど)」や「キク科(ブタクサやヨモギなど)」の小児例も増えてきています。
その他、気温の変化や冷気を吸い込んだりPM2.5などの大気汚染物質や感染などで鼻粘膜に炎症があることも悪化因子になります。
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アレルギー性鼻炎とは?
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発作性の「くしゃみ」、「水溶性鼻汁」、「鼻閉」の3つの症状を有します。
しばしば眼のかゆみ、喘息、アトピー性皮膚炎を合併することが多いです。
まず、鼻粘膜の肥満細胞にアレルゲンが結合し、化学伝達物質が放出されます。
この物質(主としてヒスタミン)が、鼻粘膜の分泌中枢にはたらくと「水溶性鼻汁」。それが、くしゃみ中枢を刺激すると「くしゃみ」が起きます。「鼻閉」は、ヒスタミンに加えロイコトリエンなどが血管系の中枢にはたらくと起きます。
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今年のスギ、ヒノキ花粉症の傾向について教えてください。
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今年の花粉症は、飛散量の少なかった去年より140%多いと予想されていました。
予想より早めに大量飛散した為か症状が強く、特に目の症状を訴えられる方が多かったのが印象的でした。
当院では例年の症状が出る2週間前からの予防投薬や舌下免疫療法を勧めています。
また、今年も花粉症の疑いのある方が多数見られました。
特に低年齢では目の症状が乏しく、花粉症の疑いがある場合、抗体が一番上昇している4~5月のアレルギー検査を勧めています。
来年以降の治療のためにも、確定診断をされることをお勧めします。
今年の舌下免疫療法のスタートは当院では5月になります。
(2023年4月10日掲載)