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赤ちゃんのアトピー性皮膚炎の診断について
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皮膚が弱い場合、アトピー性皮膚炎を心配されることが多いですが、病名より重症度と治療の反応性(効果的であるか)が大切だと思います。出来るだけ早期に、出来るだけ痒みを無くし、皮膚炎の範囲を減らすことが大切です。
アトピー性皮膚炎は「アレルギー体質をもつ痒みを伴う皮膚炎が乳幼児期は2~3か月、年長児では半年以上続くもの」とされています。また、特徴として耳ぎれがあり、手足の屈折部位の病変があると濃厚です。
幼児の場合は、痒みを伴う皮膚炎が継続することで診断できますので、まずはアトピー性皮膚炎を疑いながら、スキンケアとステロイドの外用薬で治療効果を診ます。
外用薬を塗布しても痒みがある場合は、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤の内服薬を追加します。
乳児期では、食物アレルゲンの関与が多いので、母乳の場合は母親の食事内容。人工乳の場合はミルクアレルギーを検討する必要があります。
当院では、生後5か月からアレルギー検査を実施しています。
検査することでアレルギー体質があるか、アレルゲンがあるかが特定でき、診断への大きな根拠になります。
皮膚が弱い場合は、アトピー性皮膚炎かどうかは別として、離乳食前に検査するのは有益だと思います。
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秋・冬のスキンケア
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この時期は、何といっても乾燥対策が必要です。
10月から乾燥シーズンに入りますので、9月までには皮膚の状態を良好にしておきたいところです。
新陳代謝が盛んな乳幼児は、冬でも毎日入浴してください。
入浴後出来るだけ早く(出来れば3分以内)に保湿剤と必要な外用薬を塗布してください。
保湿剤は、保湿効果の高い軟膏タイプがお勧めです。
ただ、熱いお風呂の長湯は痒みが酷くなりますので、皮膚の状態によっては、昼間に短時間で水温に注意して入浴してください。
また、適度な暖房温度に設定し、チクチクした衣類も注意してください。保護者の衣類も刺激になる場合があります。
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春・夏のスキンケア
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この時期の悪化因子は、紫外線と汗、プールの塩素、泥や砂などの物理的刺激、蚊や蛾、植物、細菌感染などがあります。
紫外線対策は、本人に合った低刺激のUVカットのローションを塗布すると共に、帽子や日よけの使用、お出かけの時間を考慮してください。5月ごろから注意してください。
汗は、皮膚のバリアとなる皮脂膜を流し分泌された汗が皮膚に再吸収されると痒みが増します。その他の物理的刺激とともに、まずは汗をかいた後は、しっかりと洗い流した後に、保湿剤を塗布することが大切です。
特に、皮膚が弱い場合は、普段から皮膚のバリア機構が破綻しています。蚊に刺されれ掻き壊したまま放置すると、細菌感染を起こし、その汁が他の部位に飛び火してく。これが「伝染性膿痂疹」いわゆる「とびひ」という病気です。
蚊に刺されない対策をした上で、蚊に刺されたら直ぐに抗アレルギー薬の内服と外用薬塗布で痒みを軽減させると共に、患部を冷やすことをお勧めします。
暑い夏は、冷房の適正使用と、お風呂の水温をぬるめにして、痒みを軽減させ、吸水性の良い肌着と薄着で乗り切りましょう。
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部位別の外用薬の塗り方
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【顔】乾燥しやすく、薬が落ちやすいのでこまめに外用薬を塗布してください。
【首】皮膚が薄くかぶれやただれが起きやすいので、しわの奥までしっかり広げて外用薬を塗布してください。
【外陰部】汚れやすいので清潔にしてから、外用薬を塗布してください。
上記の部位は、皮膚が薄く吸入しやすく、副作用が出やすい場所です。マイルドな外用薬を使用ください。
【頭】シャンプーの後、湿気があるうちに外用薬を塗布してください。ローションやスプレーが便利です。髪の毛に守られて薬が落ちにくいので、原則1日1回で良いです。
【体】いろんな症状が混在する場合があります。広範囲にはマイルドな外用薬を、症状の目立つ部位に強めの外用薬を塗布してください。
【手】洗うたびに治療薬を塗り直す必要はありませんが、保湿剤はこまめに塗布してください。爪の周り、指の間のケアは丁寧に行ってください。
【足】帰宅後、汚れた靴下は脱がせ、足を洗ったあとに外用薬を塗布してください。
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外用薬の使い分けと塗り方について
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寒い季節は、油をベースにした軟膏の外用薬が適しています。
また、ジクジクしている描き壊しがある場合や、かさぶたになっている時も同様です。
暑い季節は、使用感がさっぱりするクリーム基盤やローションが適しています。
まず、皮膚を保護する薬や保湿剤などのスキンケア用品で下地を作ります。
それから、症状の目立つ部位にステロイドなどの治療薬を塗布します。
【下地の塗り方】
手を清潔にし、薬を片手の甲に乗せ、塗布する部位にちょんちょんと少量ずつ置き、手のひらで均一塗り広げます
【症状が目立つ部位の塗り方】
外用薬を手の甲に少し出して、手人差し指で患部に少量ずつ置いて軽くすり込んでください
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皮膚トラブルの防ぎ方
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肌着:刺激にならない綿素材がおすすめです
ランニングスタイルは首筋や脇の下が、刺激を受けやすいので、Tシャツタイプがお勧めです
爪 :皮膚を掻く道具になる爪はこまめにケアしてください
髪型:皮膚の刺激にならないヘアスタイルをお勧めします
新陳代謝の活発な赤ちゃんは薄着でも十分です。室温やタオルケットなどのかけすぎに注意してください。
また、屋外では紫外線に注意してください。素足を避け、砂遊びの汚れや汗は洗い流し、その後保湿してください。
洗濯は、洗剤の種類より洗剤が残っていないかどうかが大切なことです。すすぎをしっかり行ってください。
柔軟剤は吸湿性が落ちますが、皮膚が悪化しなければ使用していただいて構いません。
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皮膚の洗浄剤について
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皮膚を洗浄する時は、弱酸性(PH5)が角層バリア機能への影響が少ないことがわかっています。
デリケートな肌では、少なくとも赤ちゃんへの刺激の少ないものを選んでください。
繰り返しになりますが、洗浄後はしっかり洗い流すことが大切です。
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お顔のスキンケアの仕方
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赤ちゃんの頬や口回りが、よだれや食べ物で汚れた時は、湿らせたガーゼやタオルで優しく拭き取ってください。
汚れと一緒に皮脂が拭き取られバリア機能が弱まり、ひび割れた皮膚が湿疹の原因となりますので、保湿剤や軟膏でスキンケアをして下さい。
また赤ちゃんは新陳代謝が活発なうえに、汗線数は大人と同じで、汗をたくさんかきます。
汗の成分が残るとあせもの原因になりますのでケアをしっかりしてください。
※保湿剤や軟膏の塗り方は後述していますので参考にして下さい
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赤ちゃんの皮膚について
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新生児期には、皮脂が多く分泌されるのでニキビと同じような部位に肌色や赤色のブツブツができ、小さな膿胞になることがあります。皮膚を清潔にすれば数週間で消退します。
この後に見られるものとして、「脂漏性湿疹」があります。
余談ですが、頑固なかさぶたが頭につくのは日本人特有であるといわれています。これは、頭をきちんと洗わない事や、耳に水が入るのを怖がってシャンプーや石鹸をで洗った後、十分なお湯でしっかり流せていないためです。
ケアしても改善しないときは、オリーブオイルでふやかしたあと、シャンプーや石鹸をよく泡立て優しく洗い、すすぎ残しの無いよう十分なお湯でしっかり洗い流してください。その後、スキンケアをするときれいになります。
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赤ちゃんのスキンケアの重要性
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アレルギー疾患の予防には、赤ちゃんのスキンケアの重要性が言われています。
アレルギーのことが心配な方は、参考にして下さい。
母胎内の環境は、乾燥することはなく、紫外線や細菌にさらされることはありません。
ところが、生まれた瞬間に、バリア機能が未熟なまま外の生活が始まります。
赤ちゃんの皮膚は、大人の皮膚の半分の厚さで、摩擦や刺激に弱くかぶれや湿疹にもなりやすい状態です。
さらに、生後2か月以上は皮脂成分やアミノ酸やセラミドなどの保湿機能に関係する成分や水分量も減少しますので、非常に乾燥しやすく、バリア機能もさらに弱くなります。
ですから、少なくとも生後1年間は胎児であるとの前提で注意深いスキンケアが必要となります。