Doctors Fileより取材を受けました。
こちらでも同じような内容を掲載しておりますので
ご覧ください。
- スギ花粉症の舌下免疫療法とはどのような治療ですか?(更新記事)
- アレルギー検査にはどのようなものがありますか?(更新記事)
- 今年のスギ、ヒノキ花粉症の傾向について教えてください。(更新記事)
- アレルギー性鼻炎と花粉症の治療のポイントを教えてください
- 食物経口負荷試験とはどのような検査ですか?
- 食物アレルギーの治療のポイントについて教えてください。
- 子どものスキンケアの必要性と方法についても教えてください。
- 蕁麻疹の治療のポイントについて教えてください。
- アトピー性皮膚炎の治療のポイントについて教えてください。
- アレルギー症状として多い喘息の治療についても教えてください。
- スギ花粉の舌下免疫療法とはどのような治療ですか?
- 今年のスギ、ヒノキ花粉症に傾向についても教えてください。
- ドクターからのメッセージ
- 受診時に心がけておくことはありますか?
- アレルギー疾患に対するクリニックの診療方針について伺います。
- アレルギー疾患を予防するにはどうしたらいいですか?
- アレルギーの原因について教えて下さい。
- アレルギー検査にはどのようなものがありますか?
- 今年のスギ、ヒノキ花粉症の傾向について教えてください。
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スギ花粉症の舌下免疫療法とはどのような治療ですか?(更新記事)
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舌下免疫療法は、体にアレルゲンを慣らして症状を和らげていく目的の治療法で、根本的な体質改善が期待できます。
長期間の治療が必要で3年以上、できれば5年間の継続が推奨されています。
5歳以上が対象で、舌の下に錠剤を置き、飲み込むのを1分間我慢したあと、唾液と一緒に飲み込み服用します。
最初の1錠はクリニックで服用し、経過を診て増量します。
治療開始後1か月半たつまで喉のか痒みや口の異物感などを感じられる人もいますが、重篤な副作用はまれです。
全ての人に同じように作用するわけではありませんが、80~90%の方に有用だとされています。
私が今まで対応した患者さんの様子からお勧めしたい治療法と考えています。
(2022年4月25日掲載)
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アレルギー検査にはどのようなものがありますか?(更新記事)
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アレルギー検査の結果は、予防と治療のために必要な情報源です。
アレルゲン検査には、血液と皮膚を用いるタイプ2通りありますが、主として前者の血液検査を行っています。
当院では2021年1月から12月までに1500件ほどの検査を実施しました。
1回(月)に13項目のアレルゲンが保険診療で調べられますので、一人ひとりに合った検査内容の組み合わせを提案します。
大切なのは、検査結果とそのアレルゲンによる因果関係を検討することです。
長年の経験から、結果を参考にアレルギーの治療を進めていきます。
検査は生後5か月から受けられますし、アレルギーの診療にはかなり有益だと思われます。
まず検査を受けていただくようお勧めしています。
(2022年4月25日掲載)
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今年のスギ、ヒノキ花粉症の傾向について教えてください。(更新記事)
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今年の花粉症は、飛散量の少なかった去年より少し多いと予想されていましたが、早めに飛散し短期間に集中した昨年より緩やかなカーブで飛散したためか症状は軽めで、特にひどかった目の症状が落ち着いていたのが印象的でした。
こういったケースでは例年の症状が出る2週間前からの予防投薬や舌下免疫療法が有用です。
ただ、今年も花粉症の疑いのある方が多数見られました。
特に低年齢のお子様の場合、目の症状が乏しく花粉症の疑いのある場合の確定診断に、抗体が一番上昇している4~5月のアレルギー検査を勧めています。
来年からの治療のためにも、確定診断をされることをお勧めします。
当院の今年の舌下免疫療法のスタートは5月からになります。
(2022年4月25日掲載)
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アレルギー性鼻炎と花粉症の治療のポイントを教えてください
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通常、アレルギー性鼻炎の治療は局所に「ステロイド薬などの点鼻薬の使用」と「年齢に応じたアレルギー性鼻炎の内服」を行います。
根本的治療には、「誘因抗原の除去」と「スギやダニに対する舌下免疫療法」が必要です。
※舌下免疫療法については掲載記事がありますので御覧ください
小児のアレルギー性鼻炎をお持ちで、早期から保育園に通っているお子さんは、感染を繰り返したり中耳炎になりやすくなります。
また喘息を合併している子の場合は、その感染で喘息発作を誘発してしまうため、「気道のコントロールには鼻を制することが不可欠」となります。
また、花粉症では例年の症状が出る起算日の2週間前から予防投薬を始めることや、アレルギー性鼻炎でペットアレルギーをお持ちの方はペットに会う前の事前服薬が有用です。
(2021年12月17日掲載)
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食物経口負荷試験とはどのような検査ですか?
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「食物経口負荷試験」は、アレルギーを疑われる食物を実際に少量食べ、その後の症状を確認して診断する試験です。
この試験の目的は・・・
◆食物アレルギーの誘因抗原の診断や重症度の確認
◆食物アレルギーに対する耐性を獲得したかを確認
大切なのは検査の前に詳細な問診を行い、安全に摂取できる負荷量を決めることです。
試験の結果を元に決められた量を自宅で食べてもらい、最終的に食事に対しての日常の負荷量を決めていきます。
お子さんの食物アレルギーにおいて、「食物経口負荷試験」は安全で必要な負荷量を決めて除去を進めるために、必要な試験だと思っています。
(2021年10月27日掲載)
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食物アレルギーの治療のポイントについて教えてください。
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食物により誘発される食物アレルギーの治療の基本は「検査などで誘因抗原と確定した食物をたべないこと」すなわち「食物除去が原則」です。
以前は完全除去を続ける治療が多かったのですが、最近はある程度期間をあけ、摂取可能な食品を負荷試験で確認しながら少しづつ除去を解除するといった「正しい診断に基づく必要最低限の食物除去が耐性獲得の早道である」とされています。
小児の食物除去においては、当然栄養面を考えますが、保育園や学校などの給食の問題もあります。
また季節性や体調に左右されますし、除去していた食物を食べたがらなく場合も多々あります。
保護者の方の考えをしっかりお聞きしながら、総合的に判断して除去を進めています。
(2021年10月27日掲載)
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子どものスキンケアの必要性と方法についても教えてください。
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乳児期や皮膚の弱いお子さんはスキンケアが大切です。
それは、皮膚が弱く乾燥やあらゆる刺激にダメージが起きやすいからです。
また、最近はアレルギー体質をもっている方が高率でスキンケアをすることがアレルギー(アトピー性皮膚炎や食物アレルギー)の予防になると考えられています。
スキンケの方法は皮膚を清潔に保ち、しっかりと保湿することです。
できるだけ弱酸性で低刺激の石鹸を泡立て、それをソフトに洗いしっかり洗い流します。
その後、ヘパリン類似物質や尿素製剤、ワセリンなどでしっかり保湿して下さい。
皮膚のコントロールが不良で痒みがある場合は、ステロイドなどを用いてきれいな皮膚を作ることも大切です。
(2021年6月14日掲載)
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蕁麻疹の治療のポイントについて教えてください。
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蕁麻疹は、特定の抗原や原因が判るタイプと原因不明のタイプに分かれます。
慢性化しないためには、早めの治療が必要です。
抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬やステロイド薬の内服、外用剤を用いますが、痒みに対しては、冷たいタオルやシャワーで冷やしたりすると効果的なことがあります。
原因悪化因子が明確な蕁麻疹は、原因の除去回避が治療の主体になります。
原因不明の蕁麻疹は、通常の治療でコントロール不良の時は、抗アレルギー薬の増量、変更、併用やステロイド薬、抗H2ブロッカー、抗ロイコトリエン薬などを用いて症状の消失を図ります。
長期投与になることも多く薬剤の減量も再発に備えながら慎重に行います。
(2021年6月14日掲載)
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アトピー性皮膚炎の治療のポイントについて教えてください。
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治療の最終目標は保湿剤のみできれいな皮膚をキープできることです。
以前は賛否ありましたが、治療の根幹はステロイド外用です。
全身的な副作用だけでなく、局所の副作用も起こさないために、皮膚を清潔にし保湿剤でしっかりとスキンケアすること、抗アレルギー薬で痒みをコントロールすること。
ステロイド薬もプロアクティブ療法と言って、すぐ薬を中止せず根本的な皮膚の改善まで減量しながら使用することを勧めています。
当然悪化因子や食物抗原の関与を見つけ出し、患者さんのライフスタイルに合わせた対策も必要です。
罹病期間が長いほど、症状が治まりおだやかになるまで時間が掛かりますので、早期のコントロールが最適だと思います。
(2021年6月14日掲載)
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アレルギー症状として多い喘息の治療についても教えてください。
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喘息症状には、その本態である慢性の持続性炎症の治療と重症度に合った薬の処方で発作をコントロールすることが重要です。
具体的には、本人に合う抗ロイコトリエンなどのアレルギー薬、ステロイド薬などの抗炎症剤と、交感神経刺激剤などを用いて日常生活に支障と制限を来たさないことを目標にします。
その為には、なるべく初期治療で発作を消失させることが大切です。
喘息の寛解、つまり発作が無い安定した状態を保つには、無症状期間をいかに長くするかが鍵を握ります。
早めの受診で重症度と発作の原因を常に分析していき、発作を起こさないようにしていくこと。
また、起きても軽い発作で済むよう、治療薬の取り置きも必要になります。
(2021年4月16日掲載)
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スギ花粉の舌下免疫療法とはどのような治療ですか?
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舌下免疫療法は、体にアレルゲンを慣らして症状を和らげていく治療法で、根本的な体質改善も期待されています。
長期間の治療が必要で3年以上、できれば5年間の継続が推奨されています。
5歳以上が対象で、舌の下に錠剤を置き、飲み込むのを1分間我慢した後、唾液と一緒に飲み込み服用します。
最初の1錠はクリニックで服用し、経過を診て少量からスタートします。
全ての人に同じように作用するものではありませんが全国でも重篤な副作用の報告は多くはなく、治療開始後、初期は喉の痒みや口の異物感などを感じられる人もいますが、当院で今まで対応した患者さんの様子から、お勧めしたい治療法と考えています。
(2021年4月16日掲載)
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今年のスギ、ヒノキ花粉症に傾向についても教えてください。
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今年の花粉症は、飛散量のかなり少なかった去年の2割増し(過去10年の平均の半分程度)と予想されていました。
例年より早めに飛散を開始し飛散が集中した為か、今年初めて発症したお子さんや低年齢での発症が目立ちました。
また、目の症状が強い印象があります。ただ、例年より2~3週間早く落ち着いたようですね。
低年齢では目の症状が乏しく花粉症の疑いがある場合、抗体が一番上昇している4~5月の検査がいいでしょう。
来年からの治療、特に予防投薬といって2週間前からの治療が効果的である為、確定診断をされることをお勧めします。
今年の舌下免疫療法のスタートは、当院では5月からになります。(2021年4月16日掲載)
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ドクターからのメッセージ
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アレルギーを専門にして35年たちましたが、小児科医としても同年月経験したことになります。
アレルギーを専門とするかかりつけ医として利用していただければありがたいです。
アレルギーの治療は長期戦で、生活の一部になります。親子で一緒に考えれば家族の絆になります。
お子さんが大きくなった時に「親はここまでやってくれたんだ」と、お子さんから感謝の気持ちがもらえたらうれしいですよね。病気をマイナスに捉えず、得たことを学びとして役立ててもらえれば、医師冥利に尽きます。
今回の取材を機会に、当院のホームページにアレルギー疾患を理解するためのちょっとした勉強会を企画しました。
よければ参考にしてください。
(2021年1月26日掲載)
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受診時に心がけておくことはありますか?
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最適な治療方針を立てるための『情報』をたくさん持って来ていただけるといいですね。
例えば、保育園や幼稚園に通っているか否か、そして受診するまでの症状や検査結果、家族歴、お薬手帳は特に初診時は忘れずに持参してください。
他にも「喘息があってもサッカーがしたい」「薬はシロップがいい」と言った希望があれば、それも併せてお伝え下さい。
この情報が、早期の無症状化と長期的な治療方針の組み立てには必要です。
また、アレルギー疾患にお困りの方、ご心配の方は、なるべく早めに受診して下さい。
アレルギー体質があることを前提に予防したり、できるだけ早めの専門治療をすることが、早期の寛解の近道になると思います。
(2021年1月26日掲載)
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アレルギー疾患に対するクリニックの診療方針について伺います。
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アレルギー治療の目的は、早めの無症状化です。
患者さんに応じた長期的な治療方針を一緒に作っていきます。
最終的には本人や保護者が主治医になることが理想です。
例えば患者さんが生活の中で積極的に食事の摂取方法などを工夫できるように治療の段階から丁寧な説明をしています。
その中でも大切なことは、完璧を求めすぎないことです。完璧を求めすぎると、症状が出た際に「どうして症状が出てしまったんだろう」とご自身やお子さんを責めてしまうことにもなりかねません。
しっかりと治療と向き合いながらも、ある程度寛容になることが治療には大切です。
その失敗を含めた経験を共有し、サポートすることが私の役目だと思っています。
(2021年1月26日掲載)
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アレルギー疾患を予防するにはどうしたらいいですか?
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以前は食物、特に卵白の除去が予防になるとの考えが主流でした。
しかし、今は保湿や皮膚を清潔に保つことで、皮膚からアレルゲンが体内に侵入するのを防ぐことも大切だと考えられています。
他にも卵・牛乳などを少しずつ摂取することで体が学習し、過剰なアレルギー反応を起こさなくなる。と言う考えも広まっています。
このように皮膚状態とバランスの良い食事が予防のポイントです。
また、患者さんの体質やライフスタイルによっては、ダニアレルギーに移行し、喘息を発症する可能性があります。
その場合、環境整備と抗アレルギー薬が予防になります。
保湿や腸内環境の改善によるアトピー性皮膚炎の予防の研究も進んでいます。
(2021年1月26日掲載)
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アレルギーの原因について教えて下さい。
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人間には、侵入した異物から体内を守る抗体という免疫機能が備わっています。
この免疫機能が異常を来してしまい、有害な反応を引き起こすのがアレルギーです。
その原因になる物質(アレルゲン)を処理する抗体をIgE抗体と言いますが、アレルギー体質であるかどうかはIgE検査で調べます。
卵・牛乳などの食べ物、ダニ・花粉などを吸収して、アレルギーを発症するケースもあり、症状もさまざまです。
このアレルゲンに加え、アレルギー体質に住環境や大気、感染などさまざまな環境因子が加わって発症します。
アレルギー疾患の治療は、これらの因果関係を明らかにし、将来を予測しながら道筋を示していきます。
(2021年1月26日掲載)
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アレルギー検査にはどのようなものがありますか?
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検査結果は、予防と治療のために必要な情報源です。
アレルゲン検査には、血液と皮膚を用いるタイプがあります。
当院では主として前者の血液検査を利用しています。
1月に13項目のアレルゲンが保険診療で調べられますので、一人ひとりに合った組み合わせを提案します。
治療に大切なのは、検査結果とそのアレルゲンによる因果関係を検討することです。
検査で陰性でも、それによるアレルギーの可能性を考えながら治療を進めることがありますし、陽性でも症状がなければ「いずれ発症する可能性も考えて治療していきましょう」とお伝えすることもあります。
ですから、当院ではまず検査を受けていただくようにお勧めしています。
(2021年1月26日掲載)
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今年のスギ、ヒノキ花粉症の傾向について教えてください。
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今年の花粉症は、飛散量の少なかった去年より140%多いと予想されていました。
予想より早めに大量飛散した為か症状が強く、特に目の症状を訴えられる方が多かったのが印象的でした。
当院では例年の症状が出る2週間前からの予防投薬や舌下免疫療法を勧めています。
また、今年も花粉症の疑いのある方が多数見られました。
特に低年齢では目の症状が乏しく、花粉症の疑いがある場合、抗体が一番上昇している4~5月のアレルギー検査を勧めています。
来年以降の治療のためにも、確定診断をされることをお勧めします。
今年の舌下免疫療法のスタートは当院では5月になります。
(2023年4月10日掲載)